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那覇市壺屋で作られる「やちむん」(沖縄で「やきもの」を表す言葉)は壺屋焼と呼ばれる。壺屋は琉球王国最大の窯場であり、庶民から王族・士族まで、あらゆる階層に向けた作品が生み出されていた。
そうした歴史を受け継ぎ、色彩もフォルムも多彩なやちむんが揃うのが大きな特徴となっている。
壷屋焼の窯元・育陶園(いくとうえん)は、琉球王朝時代から続く窯元の一つ。1963年に有限会社育陶園となり、現在は従業員30人(うち陶工15人)、体験施設を含め5店舗を経営している。
会計などの管理システムは以前から利用していたが、レジとのデータ連動や操作が不便で業務に支障が出ていたため、「小規模事業者等IT導入支援事業」を利用してクラウドPOSレジのひとつ「スマレジ」を導入。業務効率化によって生まれた時間を利用し、充実させたオンラインショップでは5倍の売上アップを実現した。今回は、販売部部長兼ブランドマネージャーの高江洲光氏にその経緯を伺う。
※POSレジ=商品についているバーコードなどを読み取り、「何を・いつ・いくらで・何個販売した」という販売情報を集積するシステムを搭載した、コンビニやスーパーで使われている一般的なレジ
※クラウドPOSレジ=大型の専用機を必要とする従来のPOSレジと異なり、タブレット端末とインターネット環境があれば利用可能で、コストを最小限に抑えられる
※スマレジ=株式会社スマレジが2011年に発売したクラウドPOSレジ。リアルタイム売上分析や高度な在庫管理など、店舗運営に必要なシステムを搭載。2022年1月現在、10万店舗以上の利用実績がある

オンラインショップ充実のためにスマレジを導入

高江州:育陶園では10年ほど前から販売・製造管理のためにクラウドPOSレジ、経理、財務などのシステムを利用していました。ただ、システム間の連動がうまくいかず、数字が合わなくなってしまうことも多く使いづらいものだったんです。調整を行っても改善されず、毎回のように金額や商品数がおかしくなってしまって。高額商品の数が違うと在庫金額がかなり変動してしまい、毎月の棚卸し業務、発注作業に大きな影響が出ていました。売上を本店のパソコンでしか確認できないこともストレスでしたね。

コロナ禍になり、オンラインショップの運営に力を入れ始めたんですが、それには新たな在庫・売上管理のシステムが不可欠と感じました。オンラインショップと店舗の在庫数を連動可能なスマレジならストレスだったさまざまな問題が解消されるのではと思い、導入に踏み切ったんです。

悩みの種だった棚卸しの手間が劇的に減少

高江州:スマレジ導入で、オンラインショップを含め全店舗の常時在庫や売上を管理できるようになり、悩みの種だった月毎の棚卸し作業のスリム化も実現しました。

以前はパソコンから商品リストを印刷、各店舗のスタッフが在庫数を確認し、手書きで記入していました。それだけでも3時間以上かかるのですが、事務スタッフが各店舗の棚卸しリストを確認しながらデータ化する作業にさらに3日が必要だったんです。

スマレジを導入してからは、バーコードを読み込むだけで各店舗の在庫や売上を常時管理できるので、格段に作業時間が短縮されました。正確なデータがすぐに反映されるので、スタッフの作業もスムーズになり、確認・データ化作業も数時間にまでスリム化されましたね。

販売スタッフが急遽休む際などは事務スタッフがフォローしてくれるのですが、以前はその分事務が滞ってしまっていました。事務スタッフの作業が大幅に軽減されたことで、フォローをお願いする場面が多くなってもそうした滞りはみられなくなりました。

スマレジ導入後は棚卸しがスムーズに

数字の”見える化”でスタッフの意識にも変化が!

各店舗ではもちろん、誰でも、どこでもスマホからリアルタイムに在庫や売上の確認ができるようになったことで、スタッフの売上への意識も高まりました。寒い季節になると「(温かい飲み物を入れる)マグカップを売ろう」といった声も上がるようになり、売上アップに積極的に取り組んでくれるようになったんです。各店舗で月・日ごとの売上目標も設定。「目に見える目標」がスタッフのモチベーションアップに効果的だということも、スマレジを通して実感できたことの一つです。

iPadで会計処理も手軽に

イベント時の売上算出も正確・スピーディーに!

陶器まつりや県外イベントには積極的に出店するようにしていますが、以前は、商品に値札を貼り、会計時に回収して手作業で売上を計算していました。手間がかかるうえに金額が合わず困ってしまうことも多かったんです。

スマレジ導入後は、その作業がバーコードを読み取るだけに。売上算出は正確でとても楽になりました。また、電子決済にも対応できるので、今の時代に非常に合っていると感じます。他の店舗さんも同様のシステムを導入しているところが多いようでした。

SNSとの連携でオンラインショップの売上が5倍に!

オンラインショップとの連動はスマレジ導入の決め手の一つでした。オンラインショップは県外のお客様向けにスマレジ導入前から開設していましたが、当時の運営は実店舗が中心。管理がきちんとできておらず、在庫切れなども多々起こしてしまっている状態でした。

コロナ禍で実店舗の売上が激減し、オンラインショップに注力せざるを得ない状況になり、まずはスマレジとの連動で運用をスムーズにできるよう整えました。さらに、2020年頃に開設したまま、あまり活用できていなかったインスタグラムを充実させることに。なぜかと言うと、友人から「インスタグラムからオンラインショップに集客できる」という話を聞いていたからです。新商品や季節感に合わせた商品を週に2~3回アップすることから取り組み始めました。

育陶園のインスタグラム。定期的にアップすることで、フォロワー数も増加

お気に入りのやきものに料理を盛りつけて写真をアップする方が多いので、それに合わせ、料理を盛ったり飲み物を入れた画像をアップしたりと、投稿の際にはいろいろな工夫もしましたね。

その甲斐あって、フォロワー数は3,000人から9,000人に。月20万~30万円だったオンラインショップの売上は何と150万円、5倍にまでアップしました。

まずは話し合いや工夫。改善できない場合にIT導入の道を

何か問題が起こった際、すぐにITツールに頼るのではなく、まずはしっかり考えることが大事だと感じています。実はコミュニケーションの問題だったり、小さな意識のずれが原因だったりと、話し合いで解決できる場合もあるんですよね。

例えば私たちの場合、職人の業務時間が多く、人件費がかさむという問題がありました。それを社内で話し合ったところ、雑用が多いということが判明。皆で工夫して雑用を削ることで、職人全体で月20時間の業務時間削減に成功したことがあります。

話し合いや工夫だけでは改善が難しいことや、ITツールの導入が不可欠だと分かった時に、ITの力を使うステップに進むと思っています。

AI導入で作業をさらにスリムに、お客様のニーズに応える工夫を

高江州:今後のステップとしては、商品発注へのAI導入を検討しています。現在は経験則から予測し、工房へ発注していますが、AIを導入すれば、売上の推移や傾向、お客様の動向などを全てデータ化して、発注することが可能になるかもしれません。実現すればスタッフの担う作業はさらにスリムになり、経験の浅いスタッフも発注業務に携われますよね。

将来的には私たちも所属する壺屋焼やちむん通り会全体にこういったシステムを導入し、もっと細やかにお客様のニーズに応えられるようになればいいなと思っています。

将来のことを視野に入れ、私たちはもっと意識してITの導入や利用方法を考えるべきだと感じます。ただ、IT導入にはかなり経費がかかることも事実。やはり補助金制度があると非常に助かります。沖縄全体でこうした制度が充実し、しっかり活用できるような環境が整えられていけばいいですね。

【Profile】
社名:有限会社育陶園
住所:沖縄県那覇市壺屋1丁目22番33号
電話:098-866-1635
代表:新垣 若菜
営業時間:10:00~18:00
育陶園ホームページ

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