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概要

システム・サービス名
自動操舵システム、データ収集解析ツール
内容
自動操舵システム搭載の機械によるサトウキビの植え付けと収穫、データ収集解析ツールを活用した、生産性の向上
対象者
サトウキビ農家
沖縄県のサトウキビ生産量は全国シェア約60%で日本一。農家の70%がサトウキビを育て、栽培面積は県内の畑の約50%にのぼる。
沖縄県の基幹作物であるサトウキビ農家も、就業者の高齢化や次世代の担い手不足という全国共通の課題に直面している。
そうした課題を解決する一助にと、「自動操舵農作業情報収集解析システム」を共同開発したのが、システム開発とITコンサルティングを主軸とする株式会社ユニバーサルブレーンシステムと、農業機械器具の販売・修理などを手掛ける株式会社くみきだ。「令和3年度 IT活用ビジネスモデル・テストベッド構築支援事業」を利用し、サトウキビ用農業機械に自動操舵システムを装着、システムにインプットした通りに畑の中で行う自動操舵による農作業と、そのデータを活用することで業務効率化を実現した。経験の浅い農家でもサトウキビ栽培を可能にすることも目標にしている。
サトウキビ産業に画期的な一石を投じるシステムを開発した株式会社ユニバーサルブレーンシステムの代表取締役・銘苅幸夫(めかる・さちお)氏、株式会社くみき取締役営業部長・玉城豊(たまき・ゆたか)氏、さらに実証実験で自動操舵システム搭載のケーンハーベスター()を操縦したオペレーターの川上カツオ(かわかみ・かつお)氏に話を聞いた。
※ケーンハーベスター=サトウキビ栽培に使用する農業機械。らせん状の円筒「クロップデバイダ」を回転させてサトウキビの根元をそろえ、内側に回転する「ベースカッタ」でカットする。風選択によりサトウキビ製糖原料とそれ以外の選別も可能。

 

サトウキビ産業の問題を解決したい

株式会社くみき-取締役営業部長・玉城豊氏

株式会社くみき-玉城豊氏(以下、敬称略):弊社は創業50年、農業機械の販売・修理などを通し一貫して県内農家を支援してきました。県の基幹作物であるサトウキビも、農家の高齢化と若い世代の担い手不足が深刻です。「サトウキビ栽培は過酷、でもお金にならない」…そんなイメージもあり、農業の一角を担う企業として「このままではいけない」と感じていました。そこで、株式会社ユニバーサルブレーンシステムさんと協力し、サトウキビ作に適した自動操舵システムとそのデータを有効活用するためのデータ収集解析ツールの開発に着手しようと考えたんです。

ITを用いて農業技術の平準化と生産性を担保

玉城:農業は技術や経験によって収穫量に大きな差が出ます。特にサトウキビ栽培では機械操縦技術がとても重要。機械をきちんとコントロールできず収穫前のサトウキビを倒してしまうと、ベースカッタで刈ることができなくなり、収穫量に影響してしまうんです。操縦する方の技術や経験に頼ることなく、ITによって作業を効率化し、計画した収入を得られるよう工夫することが、サトウキビ産業を盛り上げることにつながるのではと思いました。

玉城:そこで、ITを用いた“技術の平準化”を目指し、システム開発を行う株式会社ユニバーサルブレーンシステムさんと連携して生まれたのが自動操舵農作業情報収集解析システムです。

“後付けできること”にこだわった自動操舵システムの開発

株式会社ユニバーサルブレーンシステム 代表取締役・銘苅幸夫氏

株式会社ユニバーサルブレーンシステム-代表取締役・銘苅幸夫氏(以下、敬称略):農業機械の自動操舵システムはさまざまなメーカーが開発しており、さほど目新しいものではありません。ですが、サトウキビは国内で沖縄県と鹿児島県の一部でしか生産されておらず、大手メーカーでもサトウキビに特化した自動操舵システムは未開発でした。後付けタイプのシステムもトラクター用のみで、収穫時に使用するケーンハーベスターには取り付けられなかったんです。

銘苅:農業機械は高額で気軽に買い替えられるものではありません。自動操舵システムは後付け可能な点が最も重要なポイントです。

玉城:農業機械メーカーにも協力を仰ぎ、実際にケーンハーベスターに取り付けてデータを取りつつ開発しました。誰でも簡単に使えて、どんな機械にも取り付けられるよう工夫を重ねています。

GPSを活用したプログラムで畑の形に沿って自動走行

銘苅:自動運転で大事なことは、システム上の地図と実際の畑とがずれていないこと。畑の地図はもちろん、サトウキビの苗を植え付けるために土を盛り上げた畝(うね)の幅と長さ、畝と畝の間の溝の幅も正確に設定します。これがずれていると、畝の上を走行してしまい、サトウキビを倒して収穫できない状態にしてしまうといったことも起きかねません。それでは“利益を最大化する”ことにはつながりませんよね。

銘苅:精緻なデータを取るため、農家にヒアリングも行いつつ、実際に植え付け位置を測位機器で測定しました。

玉城:こうして完成した地図データに、農業機械のサイズや走行速度を合わせます。その後、実際の現場でGPS()によって位置情報を取得しながら、事前に設定した進路通りに農業機械を運行
これまではオペレーターの経験を頼りに操縦していましたが、畑の畝は必ずしもまっすぐではなく、高さも一定ではありません。畝の歪みに合わせて進む左右の動き、高さに合わせサトウキビを刈り取る刃の上下の操作も必要で、非常に高い技術を要するものでした。

玉城:自動操舵システムでは、畝に沿った走行は誤差2cm程度という非常に高い精度で自動コントロール。オペレーターが操作するのはサトウキビを刈る刃の上下の動きだけなので、高度な技術がなくても十分対応できるようになります。オペレーターによらず収穫量を一定に保つことができ、農家の収益向上にもつながるものと考えています。

玉城:本システムは、走行ルートを記憶することも可能です。植え付け時、トラクターに自動操舵システムを搭載して記憶させておけば、収穫時にケーンハーベスターに載せ替えて活用できるんですよ。植え付け時のルートを収穫時にしっかりとトレースできるようになるので、サトウキビを倒してしまうことがほぼなくなります

タッチパネルで操作する自動操舵システム
トラクターやケーンハーベスターをデータ通りにコントロール

※GPS=グローバル・ポジショニング・システムの略。任意の位置を人工衛星からの電波で測位する、アメリカ生まれのシステム

収穫にかかる時間は1/2、作業ストレスはほぼゼロに

実証実験にオペレーターとして参加した川上カツオ氏

川上カツオ氏(以下、敬称略):自動操舵システム搭載のケーンハーベスターでサトウキビを収穫した感想は、「非常に楽(笑)」。これまでは、サトウキビで隠れて見えにくい中で畝に沿って機械を動かさねばならず、運転にはとても気を使っていました。

川上:畝も圃場(ほじょう)()もまっすぐではありません。熟練したオペレーターでも100%の収穫は難しいんです。自動操舵システムを使えば畝に沿って自動走行してくれるので、前後左右の操作は不要。刈り取りの上下の動きに集中でき、ストレスなく植え付けたサトウキビのほとんどを収穫できました。ケーンハーベスターが畝に沿わず一旦止めて後退させるといった時間のロスもなく、通常の半分以下の時間で収穫を終えられたんです。

川上:操作や設定はタッチパネルで行うのですが、3アクションほどで完了します。直感的に操作できるので、IT機器にあまりなじみのない方も抵抗なく使えるのではないかと感じました。

※圃場(ほじょう)=農作物を栽培するための畑や水田など

自動操舵システムにより、オペレーターは刈り取り刃の上下操作だけに集中できる

農業はITにより大きく変わる。担い手不足も解消したい

銘苅:本システムにはデータ収集解析ツールも搭載しています。ドライブレコーダーのような映像データとGPSデータにより、走行距離、速度、作業時間、作業面積を算出。さらに、消費燃料、作業面積に対する植え付け量、収穫量などのデータと併せて、解析・共有することにより、経営改善に役立てることも可能です。農家の経験値によって左右されていたサトウキビ栽培を平準化でき、データに基づく生産計画も立てられるようになると考えています。

玉城:これまでは作業時間と収益の相関、目標とする収益のために必要な圃場の広さといった数字が把握しづらく、「農業は大変」「お金にならない」というイメージを払しょくできずにいました。

玉城:自動操舵システムのデータを活用することで、予測生産量から収益をシミュレーションできるようになります。興味を持ってもらう一つのフックにもなりそうですね。

玉城:自動操舵システムは、機械操作や作業の負荷を減らし、より多くの収益を上げられる仕組みです。「農業はおもしろい」「農業はお金になる」と若い世代に感じてもらい、農家の担い手不足の解消につなげられるよう、どんどん普及させていきたいと思っています。

【Profile】
「株式会社ユニバーサルブレーンシステム」
代表:代表取締役 銘苅幸夫
住所:沖縄県浦添市伊祖1丁目33番の1 牧港建設第2ビル204
電話:098-879-0213
事業内容:
・コンピューターシステムコンサルティング
・コンピューターシステム開発並び販売
・コンピューターシステム運用サポート
・情報機器並び用品の販売
・労働者派遣
「株式会社くみき」
代表:代表取締役専務 新城安浩
住所: 沖縄県島尻郡与那原町字上与那原439番地
電話:098-945-3511
事業内容:
・農業機械器具と部品の取扱い業務
・農業機械器具の開発及び工作
・自動操舵システムの開発・販売
・ドローン農薬散布省力作業システムの開発

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