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概要

システム・サービス名
高速・大容量の5GとVR・ARを使用した遠隔コミュニケーション
内容
5Gの高速回線を使用して講師が遠隔地からVR、AR、高精細動画などを用いて沖縄の文化や歴史を解説。新しい観光や学びのスタイルを提供
対象者
修学旅行生、観光客、沖縄県内の離島で学ぶ学生など

ここがResorTech!!

  • ARやVRを用いた遠隔コミュニケーションで距離の壁を越えた新しい観光・文化体験を提供

  • 失われてしまった文化遺産をデジタルデータとしてアーカイブ化

  • 大容量・高速の5G通信網によって離島でも複数人の生徒が同時に講義を受けられる。教育の不平等の解消

第5世代移動通信システム「5G」。現在はまだ利用可能な地域も限定的ですが、2020年より本格的な商用サービスが始まっており、一部スマートフォンなどではすでにその高速・大容量通信の恩恵を受けることが可能です。そして、5Gの持つその特徴を生かした、あらたなサービスやビジネスの可能性も今大変注目されています。

5Gネットワーク標準化を現在進めている(株)NTTドコモでは、5Gと同社の持つ様々なICT技術を活用して、地域がかかえる課題を、その地域の特徴を生かしながら解決、支援しようという「地域協創」活動を現在行っています。そしてその一環として沖縄で行っているのが5GやARを用いた遠隔コミュニケーションシステムの実証です。その技術を使えば沖縄の観光コンテンツの質を大きく向上させることが期待できます。その取り組みについてお話を聞きました。

5Gの可能性を探る実証実験を2018年より実施

お話を伺ったのは(株)NTTドコモ 法人営業部沖縄振興推進担当の坂本光弘氏と木村洋史氏です。こちらの部署では地域協創の先進事例として、現在沖縄で「自然/文化保護推進」「観光/インバウンド推進」「暮らしやすさ/働きやすさ向上」「モビリティ向上」「教育改革推進」「産業振興推進」という6つテーマに取り組んでいます。

その中の「自然/文化保護推進」の一環として行われたのがAR未来授業のプレ実証。2018年に沖縄県国頭郡の今帰仁城跡(なきじんぐすくあと)エリアに、商用化前だった5Gの試験機を持ち込んで、神奈川県の修学旅行生に協力してもらい実証実験を行いました。那覇市とドコモの5Gネットワークで結び、520名の修学旅行生が5GとARを用いた遠隔授業を受けました。

この遠隔授業では5Gと30台のタブレットが使用されました。生徒たちはタブレットを手に持ち、今帰仁城跡を実際に回りながら、遠隔地にいる法政大学沖縄文化研究所研究員の上里隆史氏(イベント当時の所属、現在は浦添市立図書館長)と5G回線で接続し、リアルタイムの遠隔授業を受けるという実証実験が行われました。

タブレットの画面上には、文化財や遺跡からの出土品を浮かび上がらせるように表示することもできました。最新のARやVR技術で、現実の風景と合成して、当時の様子などを再現することができたといいます。

また、発掘物や復元された埋蔵品などをAR映像化、展示品では見ることのできない細部や裏側までバーチャルで確かめることができたといいます。また、先生と会話も可能でインタラクティブな授業も実施。5Gの高速大容量ネットワークは遅延もなく、同時に30台のタブレットと接続を行いました。

実証実験後のアンケートでは、「5G‐AR未来授業はモノを自由に見ることができ、博物館とは違った楽しみ方や学習になる」「ライブ中継で授業しながら別の画面でVRを見て、さらに触れても操作がスムーズでした。すごい!」などの声があり、90%近くの高評価を得ることができたそうです。

焼失してしまった首里城正殿をARでタブレットの中に再現

今帰仁城跡で行われた結果を踏まえ、NTTドコモは、首里城再建に向けたお手伝いが出来ないかと一般財団沖縄美ら島財団と検討した結果、2020年10月30日に本システムを首里城復興支援のお手伝いとして同様のシステムを提供することに。遠隔授業と同じように、体験者がタブレットに首里城正殿跡のARマーカーをかざすと、在りし日の首里城正殿の姿があらわれます。そして、動画を見ながら講師やガイドによる説明を聞くことが可能です。

また、焼失してしまった所蔵物の絵画なども、アーカイブ化されていたデジタルデータを使用して、絵師のタッチまで確認できる高精細な映像で見ることができます。この実証実験によって、5GやARの技術が、文化遺産の継承やニューノーマル時代の観光事業にも大変有効だということが考えられます。

文化体験や観光だけでなく、遠隔学習の可能性も広がる

さらに、この5Gの技術を使用すれば観光だけでなく離島で学ぶ生徒にも、不平等のない学習の機会を提供できる可能性が見えてきたといいます。新型コロナ下で対面での授業が難しい現在、タブレットを通して充実した学びの場を提供するのにもこの技術は有効でしょう。

「タブレットを使った授業は今もありますが、5Gを活用すれば映像を見るだけでなくARやVRを使った、より充実した新しい学び方も確立できるのではないかと期待しています」とのことです。

写真:実証イメージ

5Gによる新たな文化体験の実現で沖縄県の魅力向上にも貢献

NTTドコモ沖縄振興推進担当では、今後、首里城正殿のような建造物だけではなく伝統的な儀式や、歴史イベントなどもARやVRで提供し、沖縄の歴史や文化の伝承を推進するとともに、沖縄県の魅力向上に継続的に貢献していきたいとのこと。このような最新のICT技術を使った、文化財のデジタルアーカイブ化は歴史や文化を未来に伝えるために欠かせないものとなるかもしれません。

そして、この技術と5Gのネットワークが全国に広がれば、日本中どこにいてもARやVRを使った充実した文化体験や、新しい観光の楽しみ方ができる、そんな未来がいずれ訪れるのかもしれません。

この記事に関するお問い合わせ

  • 株式会社NTTドコモ 九州支社 法人営業部 沖縄振興推進担当 坂本 光弘
  • 098-840-0130

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